『アクリル絵の具で描く風景画』準備編 初心者の方にも分かり易く解説します!

プロフィール

37年間勤めたホテル会社を2022年に定年

退職したことを機に、片手間であった絵画制作

を本格的に再開。

小学校からメインであった水彩画から

現在はアクリル絵の具を用いた作品に注力中。

ホテルマンとして培った「癒し空間の提供」

の感性を作品中に盛り込むべく鋭意制作活動中。

絵画工房 HIKO  店長 吉田 明彦

CONTENTS

第1章 アクリル風景画を描くうえでの

キャンバス下地の準備

第2章 アクリル風景画を描くうえでの

練習用下絵の転写

第3章 アクリル絵の具を使った

空のグラデーション技法

第1章 アクリル風景画を描くうえでのキャンバス下地作り

アクリル絵画を描くにあたり、私は

布地が張られていないベニヤ製の

キャンバスに直接描いていきます

事前に、キャンバスに下地を作ります。

今回は「A4サイズ」のキャンバス

使って描いていきたいと思います。

サイズ的に大きくもなく、また小さす

ぎて極端に細かな描写にもならないので

ちょうど良いサイズかなと思います。

ただ、A4サイズはOA規格なので販売

されている油彩画用の額縁が少なめです。

よって、少し大きめのサイズですが、

F4という油彩画のキャンバスサイズ

描いた方が、キャンバスが収まる様々な

種類の額縁が販売されていますので

完成後に飾りたい方は額縁選びも楽しめる

かと思います。

そこまで手を掛けずに描きたい

方は、概ねA4サイズのスケッチブック

またはA4ケント紙を用意して頂いて

この章の下地塗り作業はスルーしても

大丈夫です。

もちろん、完成品はA4サイズの

フォトフレームなどに入れてて

飾って楽しめるかと思います。

下地塗りに使うのは、ジェッソという

白色地塗り剤ほか、刷毛紙やすり

3種セット(P60粗目 P120中目 P240細目)

平皿です。

刷毛と紙やすり、平皿は100円ショップ

で購入したものでも十分使えます。

それでは、作業を進めていきます。

まずジェッソをお皿に出して

概ね3回の重ね塗りをします。

1回目は液が濃いと塗りにくいので

2割ほどの水で薄めると滑らかに

塗りやすくなります。

刷毛を縦、横に滑らせて塗っていき

ましょう。

1回目の塗りは、ムラになっても気に

しないで大丈夫です。全面に塗れたら

一旦乾かします。

作業を早めたい方は、ドライヤーで

乾かすと効率的です。

指に付かないくらいに乾いたら2回目を

塗りましょう。

2回目はジェッソを濃いめにして上塗り

していきます。全面に塗り終えたら再び

乾かしましょう。

3回目はジェッソをほぼ原液のまま

塗りましょう。途中で抜けた刷毛の毛

が画面に付着したりしても、仕上げに

紙やすりをかけて除去できますので、

気にしないで塗ってください。

3回目を乾かしたら次に紙やすりを

かけていきます。

円を描くように粗目(P60)のものから

中目(P120)、細目(P240)の順で

紙やすりをかけていきます。

刷毛の塗りムラが無くなり、画面がすべすべに

なって描き易い状態になったら完成です。

ひとまずお疲れさまでした。

 第2章 アクリル風景画を描くうえでの下絵転写

今回は、風景画の練習用下絵を添付

しましたので、描きたい風景を自身で

考えてデッサンする必要はありません。

下絵は、広い空、大きい樹木、草原、

岩で構成されています。

塗り絵感覚で楽しんでくださいね。

まず、下絵のPDFファイルをダウンロード

してください。

ダウンロードがうまくいかない方

面倒な方は、練習用下絵を真似て

ご自身でキャンバス、スケッチブック等

に描いても簡単かと思います。

※下の画像内のボタンから、ダウンロードを開始

                                   ↓↓

次に、これを印刷して頂くと4枚に

わたっていますが、4枚を切り貼りして

頂くとA4サイズに合う下絵が

出来上がります。

次に、カーボン紙(咋今あまり使われなく

なりましたが)

を用いてプリントアウトした下絵を

キャンバスに転写していきます。

咋今、カーボン紙は事務用品で

なかなか使用されていませんので

ネットでの購入が簡単です。

このカーボン紙を、下地キャンバス

と下絵の間に挟んで、下絵の主要な

線だけで大丈夫ですので、なぞり

ながら下絵を転写をしてみましょう。

塗り絵の太線を作るイメージです

赤ボールペンなどを使うと、

なぞり終えたところが判って作業が

し易いです。

樹木の枝など、細かく描きたい部分

があればご自身の判断で加えてみて

ください。

あくまで下絵ですので忠実に

描写する必要もありません。

ここまで終われば、いよいよ絵の具を使って

描いていきます。

次の第3章では、画面上で大きなスペース

を占める空の部分をグラデーション

をつけながら描いてみましょう。

Let‘s have a break!

私が勤務していたホテル業界にとっての

重大リスクの一つに、食中毒事故が

あります。

皆さんも聞いたことがあると思いますが

ノロウイルス、ほかアニサキス(寄生虫)

によるものが多いです。

特にノロウイルスは二枚貝、主に生牡蠣に

生息しており感染力も強いです。

料理するうえでは、85度以上で90秒以上

加熱すると死滅すると言われています。

でも皆さんどうですか?

牡蠣フライなどは揚げ過ぎると中の

牡蠣の身が固くなって美味しくなく

なりますよね。

美味しいのは、中の牡蠣は生に近く

ジューシーで、ころもはカリカリな方

が抜群に美味しいですよね!

このノロウイルスの厄介な点は、

約100人に対して概ね1~3人くらい

いると言われている健康保菌者という

存在なんですね。

感染者検査で保菌者が見つかっても

本人は体調も良くて自覚症状がない

ということがあるんですね。

この事からも、私のいたホテル会社では

従業員に感染者や健康保菌者を出さない

ように牡蠣フライのように十分加熱してある

ものであってもホテル従事者が牡蠣料理

を食すのはプライベートでも一切禁止されて

いました。

私はホテル退職後の現在、牡蠣フライ

や生牡蠣など大いに堪能できるように

なりました。

大好物でしたので、長い我慢の

日々でした・・・

第3章 アクリル絵の具を使った空のグラデーション

アクリル絵の具を使った「空」の

グラデーション技法についてです。

地上に近い部分は淡い水色で、高い空となる

キャンバスの上部は濃いブルーで表現

していきます。

「空気遠近法」と言われています。

空全体を一色で描いてしまうと作品が

単調になってしまい、遠近感も表現できて

いない作品になってしまいます。

今回動画内で使っている絵の具は、

「チタニウムホワイト」「コバルトブルー」

「ウルトラマリンブルー」の3色です。

この3色をパレット上で混色しながら

濃淡をつけた3段階の色を作ります

次に、グラデーションを活かしたい

ので、アクリル絵の具の乾きを遅らせる

「リターダー」という液体を3色ともに

混ぜていきます。

混ぜるリターダーの量は、ボトルの

ラベルにあるように、絵の具1センチ

につき2,3滴くらいです。

以上で使う絵の具の準備は完成です。

次に、空の部分に塗っていくのですが

キャンバスに塗り易いように

塗る部分を水の霧吹きで湿らせます

ぼかしたい境界線を考えながら

ざっくりでいいのでまず2色を

塗っていきます。

ここで、ぼかしの技法を使うのですが

2色の絵具を順に横方向に塗って

画面が乾かない内に乾いた扇筆で

2色の境界線の筆跡を消していきます

更に乾いたスポンジで境界線を軽く

叩きながらならしていきます

濃淡の色が重なる境界線では

この作業を何回か繰り返すことで、

徐々にグラデーションがついて

きます。

以上の技法のほか、「エアブラシ」

を使ったグラデーション技法も

あります。

ぜひ別の機会に紹介させて

頂きたいと思います。

エピローグ

私は、定年退職したことを機に、改めて大好きな

絵画に時間をかけられるようになりました。

そんな中で、近代絵の具であるアクリル絵の具 

を用いた美術大学出身の若いプロ画家の作品に

出会い、体の中にくすぶっていた火種が

再燃し始め、現在は水彩画からアクリル画に

軸足を移してみました。

水彩画とアクリル画、どちらも

魅力的な表現方法があります。

その表現の豊かさを活かした制作活動に

今後も挑戦していきたいと思っています。

皆さんが、更にまたは新たに、絵画を

楽しんでいくうえで、この

「絵画工房HIKOのスッケチブック」

を一助にしていただければ大変嬉しいです。

それでは、またの機会にお会いしましょう。