プロフィール
37年間勤めたホテル会社を定年退職
したことを機に、片手間であった
絵画制作を本格的に再開。
小学生の頃メインであった水彩画から
現在はアクリル絵の具を用いた作品に
注力中。ホテルマンとして培った
「癒し空間の提供」 の感性を作品中に
盛り込むべく鋭意制作活動中。
今回の解説内容です
第1章 「下絵」の描き方編
第2章 アクリル絵の具を使った
「ベース塗り」編
第3章 アクリル絵の具を使った
「ディテールの描き方」編
以上を知識としてお持ちになり
制作に取り組んでいただけると
更に素晴らしい作品につながると
思います。
第1章 「下絵」の描き方編
第1章では、すでにジェッソ(地塗剤)
を塗ったF4というサイズのキャンバスに
下絵を描いていきます。
今回使う「下絵」ですが、私が先日
世田谷区の等々力渓谷で撮影した
「野点(のだて)茶屋」の写真です。
塗り絵感覚で楽しんでくださいね。
まず、下絵のPDFファイルをダウンロード
してください。
ダウンロードがうまくいかない方
面倒な方は、練習用下絵を真似て
ご自身でキャンバス、スケッチブック等
に描いても簡単かと思います。
※下の画像内のボタンから、ダウンロードを開始
↓↓
ダウンロードして印刷して頂くと4枚に
わたっていますが、これらを切り貼りして
頂くとF4サイズに合う下絵が
出来上がります。
次に、カーボン紙(咋今あまり使われなく
なりましたが)
を用いてプリントアウトした下絵を
キャンバスに転写していきます。
咋今、カーボン紙は事務用品で
なかなか使用されていませんので
ネットでの購入が簡単です。
このカーボン紙を、下地キャンバス
と下絵の間に挟んで、下絵の主要な
線だけで大丈夫ですので、なぞり
ながら下絵を転写をしてみましょう。
塗り絵の太線を作るイメージです。
赤ボールペンなどを使うと、
なぞり終えたところが判って作業が
し易いです。
それでは、次の動画で下絵づくりを
解説していきますので、こちらも
ご覧ください。
第2章 アクリル絵の具を使った「ベース塗り」編
最初は、空のグラデーションから描いて
いきましょう。使う色は
コバルトブルー、ウルトラマリンブルー
チタニウムホワイトの3色を使ってます。
キャンバスの上部、空の高い部分には
一番濃いブルー、下に降りるにつれ
序々に明るくなる様にグラデーション
をつけてみてくださいね。
刷毛や大きめの筆でキャンバス上を
横に滑らすように描いていきましょう。
ざっくりと濡れたら、ファン筆を使って
境界線の濃淡や筆跡を消していきます。
この時、ファン筆でバツ(✖)を描く
ように境界線をならしていきます。
次に建造物である「茶屋」の部分ですが
人工物ですので直線が多くあります。
今回は、直線をはっきり描きたいので
マスキングテープを使ってみます。
空と屋根の境界線や茶屋の柱、行灯など
はテープを貼ったり、はがしたりして
(面倒な作業ですが)ベースとなる色を
着けていってください。
人工物のベース塗りが終わったら、
次は茶屋の手前となる樹木を描いて
いきます。
色は黒に近い茶色を作っています。
これらは自然物ですので、下絵を
忠実に描写する必要はありません。
樹木の枝ぶりから描き、葉の部分の
色は「オリーブグリーン」を使ってい
ます。
あくまでもベースですので、乾きぎみ
の筆先でポンポン叩くように色をのせて
いきましょう。
野点(のだて)の傘の部分ですが
この時点で描いてしまうと
屋根のディテールを描くときに邪魔
になりますのでまだ残しておいて
くださいね。
野点の傘を描く前に、先に屋根の上
に落ちた枯れ葉を描いてしまいま
しょう。
ベース塗りについては、概ね単色で
行ってきましたが、全体的な完成
イメージができてきたかなと思います。
それでは、時間的にだいぶ簡略化して
いますけど、動画で確認してくださいね。
Let‘s have a break!
私がホテルマンとしてスタートした
ホテルは、今は閉館となりましたが
東銀座の歌舞伎座と新橋演舞場に近い
ところにありました。
昭和35年オープンで、立地の良さ
から、歌舞伎役者さん、俳優の方々
銀座の高級クラブのママなど日々昼夜
を問わず賑わっていました。
ホテルの中には直営の中国料理店が
あり、常設のバイキングテーブルで
提供するお料理が売りでした。
各種の「小籠包」、「シュウマイ」
身の大きな「海老チリ」、お客様の
前で調理スタッフが直接切り盛りして
提供する「北京ダック」など、バイ
キングですので全て食べ放題でした。
私の後輩が洋食のメインダイニング
から中国料理のレストランへ異動し
て1か月ほど後、一緒にお酒を酌み交
わしていると、
「どうやらグルタミン酸中毒になった
らしい・・」
というんですね。
詳しく聞いてみると夕食の頃になると
中国料理が食べたくなる依存症だと
いうのです。
原因は、閉店後の毎晩、余ってしまった
小籠包やシュウマイをつまみ食いして
いるとのことでした。
確かに、中国料理にはうま味成分となる
化学調味料がふんだんに使われていると
ききます。
以来、真相はいまだに不明ですが、
中国料理症候群というのも存在して
いるらしいです。中国料理、美味しい
ですよね。でもほどほどに・・・
第3章 アクリル絵の具で描く「ディテールの描き方」編
この章では、いよいよ細かな部分である
ディテールの描き方に入っていきます。
まずは、左側の石段ですが、色味を足し
ていこうかと思います。石の表面に
苔っぽい感じを出したいので緑系の
色として
「パーマネント サップ グリーン」
を使ってみました。暗い感じのある
グリーンですので苔の感じが少し出
せればいいですね。
次に、石のゴツゴツ感を白色を
スパッタリングにて表現していきます。
また、渓谷で日差しが少ないですが
少し日の当たっている部分にも白色
(ハイライト)をいれていきましょう。
石段の後方にある大きな石も、ほぼ
同じ要領で描いていってください。
続いて、茶屋の中の人物を描いていき
ましょう。
このように、遠いところにいる人物は
細部まで見えるものではないので、描く
にあたっても正確に描かなくて大丈夫
です。このように細かな部分は、基本的
に奥の方にあるものから描きながら
手前に筆を移してくると楽に描けます。
茶屋の中や行灯の細い線ですが、極細
サインペンを使っています。イラスト
用のサインペンで太さが選べるものも
販売されています。
ほか、文字が書いてある看板などは
はっきり読み取れるもの(下絵の中の
営業中の看板など)は、ある程度
リアルに描く場合もありますが、
細かな文字は、そこに文字があるかな
程度に、ぼやかして書いてもお品物
メニューかな?程度に認識されれば
絵的には大丈夫です。
ディテールは、どこまで描きこむか?
が難しいところで、おおまかに
色を重ねながらの、素晴らしい作品も
あれば、写真のようにすごく写実的
な作品もあります。
この描き方が作家さんの判断であり
個性が表れた作品となりますね。
この章は以上となりますが、今後は
皆さんの判断で、素晴らしい固有の作品に
仕上げて頂けましたら、大変うれしいです。
ぜひ、楽しみながら描いてみてくださいね!
それでは、動画でご説明します。
エピローグ
私は、定年退職したことを機に、
改めて大好きな絵画に時間を
かけられるようになりました。
そんな中で、近代絵の具である
アクリル絵の具を用いた素晴らしい
作品に出会うことができました。
美術大学出身の若いプロ画家の
作品に出会い、体の中にくすぶって
いた火種が再燃し始め、今は水彩画
からアクリル画に軸足を移してみました。
アクリル画と水彩画、どちらも魅力的な
表現方法があります。
その表現の豊かさを活かした制作活動に
今後も挑戦していきたいと思っています。
皆さんが、更に、または新たに絵画を
楽しんでいくうえで、この
「絵画工房 HIKOのスッケチブック」
を一助にしていただければ大変嬉しいです。
それでは、またの機会にお会いしましょう。
絵画工房 HIKO 吉田 明彦
「飛翔2023夏」 A4サイズ アクリル画
「等々力渓谷 ゴルフ橋」 F4サイズ アクリル画
『今を輝く現代作家展』 Part2 出展作品
2023年 10月3日~19日 於:グランドニッコー東京台場