第1章 プロフィール
37年間勤めたホテル会社を2022年に定年
退職したことを機に、片手間であった絵画制作
を本格的に再開。
小学生の頃からメインで描いていた水彩画から
現在はアクリル絵具を用いた作品に注力中。
ホテルマンとして培った「癒し空間の提供」
を作品に盛り込んだ画風を目指して鋭意活動中。
工房長 吉田 明彦
CONTENTS
第1章 水彩・アクリル絵具の特性について
第2章 表現の幅を広げる補助画材について
第3章 水彩画とアクリル画の技法の違いについて
皆さんが、水彩画、アクリル画を描かれる
うえで更なる表現力アップの一助になれば
大変うれしいです。
第1章 水彩・アクリル絵具の特性について
まず、「水彩絵具」の成分ですが、 顔料
(色の粉)とそれを紙に定着させるための
糊(展色剤という水溶性のアラビアゴム
樹脂)、水、油などを混ぜて液体に
しています。
塗った後に水分が蒸発して固化するため、
重ね塗りの際は、塗った部分が乾くまで
他の部分に作業中の筆を移したりします。
小学生の頃、先生から「絵具が乾いてから
次の色を塗りましょう!」なんて教わった
のに、せっかちな性格である私は、
乾く間もなくどんどん上塗りして、
色の修正が効かなくなり最初から描き
直しか?と困り果てていました。
一方、「アクリル絵具」ですが、
油絵具などと同様の「顔料」と、展色剤
としては「アクリル系合成樹脂」を
練り合わせた水溶性絵具です。
特徴として発色に優れ、変色を
起こしにくく固着力が強いのが
特徴です。
また乾きも速く、一旦乾燥してしまえば
耐水性になるため重ね塗りが比較的簡単
にできます。
種類も、色によって不透明性の高い
「ガッシュタイプ」、さらに
多彩な表現を可能にする「メディウム」という
補助液があります。
この「メディウム」は、
下地として使われるものや、艶やかさを
出すものや粘り気のあるタッチを
出すものなど多種取り揃えられています。
アクリル絵具自体、水彩絵具と同じように
水で溶いて使えますし、「メディウム」
を使うことで透明度の高い水彩風から
厚塗りしたような油彩風まで
表現することができます。
制作中にパレットに出した絵具が乾いて
くるくらいの速乾性がありますので、
水彩画と違い一度塗った色味の修正が
可能です。
次の第2章では、そんな各絵具の特性を
活かしながら表現の幅をさらに広げら
れる画材に触れていきたいと思います。
第2章 表現の幅を広げる補助画材について
この章では、もう少し周辺画材に
触れさせて頂こうかと思います。
まず水彩画の特徴として、画用紙の
白色を活かして淡い色を積み重ねた
作品が多いかと思います。
上記、私の作品「函館 立待岬」では
全体的に淡い作品に仕上げたく
「固形 水彩絵具」を併用しました。
日本画に使われるの「岩絵の具」のように
艶のないマットな質感が表現できました。
ホルベイン社の「固形水彩絵具 透明ケーキ
カラー24色セット」ほか、安価なもので
あればShuttle Art社の固形水彩絵具など
様々なものが市販されています。
塗り絵の感覚で色調を簡単に楽しみたい
方などにはお勧めかと思います。
※下記画像はイメージ
↑ ↑ ↑ Shuttle Art社 固形水彩絵具セット
ほか、自作「箱根 ガラスの森美術館」では
屋根と池の部分に「パステル蛍光色」を入れ
メルヘンチックに表現してみました。
私は、「サクラ ヌーベル パステル蛍光
12色」を補助的に使用してみました。
こちらも機会があればお試しください。
※下記画像はイメージ
↑ ↑ ↑ ヌーベル パステルセット
続きまして、アクリル画についてです。
前章で「メディウム」というものに
触れましたが、これはアクリル画の
表現を多彩にする魔法のような補助液
だと思います。
下地として使われる「ジェッソ」から、
絵の具と混ぜて艶や透明感などを出す
「ジェルメディウム」
砂の様な質感にするもの、ガラスビーズ
の入っているもの、他にはアクリル絵具
の特徴でもある乾燥の速さを逆に
遅らせてグラデーション表現に用いる
「リターダー」など多種多様なメディウム
があり、表現の幅を広げてくれます。
↑ ↑ ↑ホルベイン社 ジェルメディウム
↑ ↑ ↑ターナー社 リターダーメディウム
それでは、次章ではさらに掘り下げ、技法の
違いを見ていきましょう。
Let’s have a break!
少し休憩です。
だいぶ以前のことですが、私のスケッチ
ブックに恐ろしい出来事がおこって
しまいました。
自作「箱根 富士屋ホテル」がなんとも
無残な姿に・・・
まだ息子が入園前の出来事ですが
作業後のスケッチブックの保管には
十分に気をつけましょう!
第3章 水彩画とアクリル画の技法の違いについて
水彩画を描くにあたり、私は以前から
筆への水のつけ過ぎにすごく神経質に
なっていました。
筆に含ませる水の分量は極力少なくして
画用紙の白色が透けて見えるくらい
薄く塗り明度の高い色から順番に
次の色を塗り重ねてゆく感じが
「水彩画の美しさ」というのが
自分なりの理解でした。
その後、日本画ほか様々な水彩画に
出会っていくうち、「たらしこみ技法」
(ウェット・インorオン・ウェット)
などと言われる技法に興味を持ちました。
これは、描きたい部分にまず薄く溶いた絵の具
をたらして、画用紙が湿った状態で他の色を
置いて、わざと滲ませる技法で、日本画
では古くから使われているようです。
この技法で美しい水彩画特有の淡い感じが
表現できればばいいのですが・・・
この技法を多用するとモチーフの輪郭が
ぼやけた感じになって、これはこれで
よいのですが。
この点が、描くうえでストレスを感じる
部分でもあり水彩画の難しい点だと
思います。
自作「多摩川の夕暮れ」では、まず鉛筆で
下絵のデッサンを完成させています。
その後、強調したい輪郭をサインペンで
上書きしていきます。
あとは、「塗り絵」のつもりで着けたい
色を「たらしこみ技法」ようなに
描いています。
マット紙を使用しましたので、滲み具合
は弱いですが、たらしこみによる色の
重なりが表現でき、モチーフの輪郭も
残せるかと思います。
以下のイメージ画像も参考に、ぜひ
皆さんも肩の力を抜いて、「塗り絵」
感覚でお試しいただきたいと思います。
一方、アクリル画では、一旦乾いてしまえば
何度も上塗りができますので
例えば雲を描く際、日光があたって
一番明るい積雲の上部への着色
(ハイライト作業)が終りのほうでの
作業となります。
ほか、空のグラデーションですが
パレット上にあらかじめ段階的な色を
作ってから描いていきます。
上述の自作「空」を描いた練習画では、
明度の違うブルー系の色を5段階
パレットに用意しました。
これをキャンバスへ概ね横縞に塗って
その後、水の霧吹きで絵具が乾かない
ように画面を湿らせながら、ファン筆
(扇型の筆)で色の境界線をぼかして
いく作業となります。
アクリル絵具でのグラデーション
表現では、何回も上塗りを繰り返すこと
で、更にきれいな表現になっていきます
ので水彩画ほどボカシ方に慎重にならず
試行錯誤しながらも、楽しみながら
描いていけるかと思います。
エピローグ
私は、定年退職したことを機に大好き絵画制作に
日々時間をかけられるようになりました。
そんなタイミングで、アクリル絵具を
用いて素晴らしい作品を日々発信し
続けている若手プロ画家の方々に
出会い、体の中にくすぶっていた
火種が再燃し始め、改めて絵画に
正面から向き合おうと思いました。
水彩画とアクリル画、どちらも魅力的
な表現方法があります。
その表現の豊かさを活かした制作活動に
今後も挑戦していきたいと思っています。
皆さんが今まで以上に、または、新たに
絵画を楽まれるうえで、この
「絵画工房HIKOのスッケチブック」が
一助になれば大変嬉しいです。
それでは、またの機会にお会いしましょう。
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