プロフィール
37年間勤めたホテル会社を定年退職
したことを機に、片手間であった
絵画制作を本格的に再開。
小学生の頃メインであった水彩画から
現在はアクリル絵の具を用いた作品に
注力中。ホテルマンとして培った
「癒し空間の提供」 の感性を作品中に
盛り込むべく鋭意制作活動中。
今回の解説内容です
第1章 アクリル絵の具を使った「岩」
の描き方編
第2章 アクリル絵の具を使った「雲」
のグラデーション編
第3章 アクリル絵の具を使った「草原」
のディテール編
以上を知識としてお持ちになり
制作に取り組んでいただけると
更に素晴らしい作品につながると
思います。
第1章 アクリル絵の具を使った「岩」の描き方編
アクリル絵の具を使って「岩」
のベースを作っていきましょう。
まずは、パレットにベースとなる
3段階の茶系色を作っていきます。
この章で使う中心となる色としては、
リキテックス社製 バーントシェンナ
という茶色のアクリル絵の具を
使っています。
茶系色であれば既にお手持ちの絵の具
で大丈夫ですので気楽に試してみて
ください。
チューブから出したそのままの
色だと鮮やかすぎますので、彩度を
落とすために
白と黒を混ぜて調整します。
白色は、前回も使った不透明
色のチタニウムホワイトを
使います。
黒はマースブラックを使って
いますが、特に種類にこだわら
なくても大丈夫です。
次に、中心となる茶色よりも
明るい色として、チタニウム
ホワイトを多めに混ぜで明るい
部分の色を作ります。
三色目は暗い部分の黒に近い
茶系色を作ります。
中心の茶系色に、黒を多めに混色
していきます。
ちなみに、この3色に少し赤系を
混ぜると赤土になるので
オリジナリティーが出て
面白いですね。
3段階の色ができたら早速下絵を
参考にしながら塗っていきましょう。
岩のベース塗りから始めます。
明るいなと思った部分には
パレットの一番左手につくった
明るい茶色を、暗いなと思った
部分にはパレットの一番右手に
つくった暗い茶色をザックリ
でいいので塗っていきましょう。
下絵だけでは、明暗がはっきりしない
所もありますが、
右上から日が差していることを
意識して、この下絵にあまり
こだわらないで岩の凸凹を自身で
空想して明暗を付けると独自の作風
に仕上がって面白いですね。
ベース塗りが終わりましたら
岩のゴツゴツ感、細かな石を描く
いわゆるディテールの作業に入ります。
今回は、歯ブラシを使ってみたいと
思います。
歯ブラシの先に絵の具をとって
軽く叩くように塗ってみてください。
ほか、豚毛筆(白い筆先)を使って
突っつくように描いていくと
岩のゴツゴツ感が出せるかと
思います。
更に今回は、スパッタリングという
技法を使いたいと思います。
これは、少し水を多めにした
インク状の絵の具を豚毛の筆に
含ませて、指で筆先をはじいて飛沫
(しぶき)を飛ばしていく描画
技法です。
飛沫がほかの部分にも飛び散って
いきますので、作業に入る前に
ほかの部分をマスキングします。
岩の際にマスキングテープを貼って
要らない紙などを併用しながら
岩以外の部分を保護していきます。
今回のスパッタリングに使う色は
一番明るい茶色に更に白を混ぜた
ほぼ白に近い茶色を使います。
主に日光が当たって一番明るい部分
を中心にスパッタリングします。
動画にあるように、筆を横に向け
人さし指で筆先を弾いて飛沫を
飛ばしてみてください。
不規則な石コロが表現できた
かと思います。
第2章 アクリル絵の具を使った「雲」のグラデーション編
この章では、ベース塗りした雲に
グラデーションというぼかしを
描いていきます。
雲の下の部分は日光が当たらず
少し暗い部分もありますので
ベースとなる白色に青と黒を混色
して雲の暗めの部分を描いていき
ます。
描く部分によって、青と黒の配分を
変えながら塗っていきましょう。
使う筆は、岩の部分と同様に豚毛の
筆、ほかスポンジ(100均で購入可)
と水のスプレーボトル(画用紙の場合
は不要)を使います。
まず、キャンバスの雲部分を
水のスプレーで湿らしてボカシ易く
しておきます。
混色した暗めの色を雲の下の部分に
筆先で突っつくように塗ったら
乾いたスポンジで軽く叩き、筆跡を
消していきます。
技法としては、以上の繰り返しですが
留意点としては、雲も自然物なので
個々の形が単調にならないように
描いていきましょう。
ほか、当然ですが近くの雲は大きく
遠くの地平線に近い部分(遠景)
に浮かぶ雲は細く平たんに見えています。
Let‘s have a break!
私は37年間、ホテル会社に勤務して
いました。
先日、出かけついでに皇居沿いに
ある「パレスホテル東京」を
のぞいてみました。
旧パレスホテルが老朽化により
立て替えられ、
2012年にオフィス棟を併設し
新たにオープンした高級ホテル
なんですね。
この日は休日ということもあり、
結婚披露宴が11件も入っていました。
皆さんご存じのとおり、結婚式に
ご招待されるとご祝儀を用意します
よね。
私が20~30歳代の頃で、親しい友人
へのご祝儀は3万円ほどでした。
1か月に2件、3件も招待されると
その月の懐事情は大変なことに
なっていました。
出席した披露宴では会社上司たち
の長々と続く祝辞でいつまでも
始まらないコース料理・・・。
まだ社会人経験も浅く、披露宴で
提供された高級な料理に驚ろき
また舌鼓を打ち、泥酔した友人たちの
余興で盛り上がり、次は花嫁が
中座して和装から洋装へとお色直し。
最後は、両親への花束贈呈でみんなが
涙して・・・。
なぜか、当時の懐かしい思い出が
蘇ってきました。
第3章 アクリル絵の具を使った「草原」のディテール編
それでは「草原」のディテールを
描いていきます。
前回の「草原ベース塗り」で、
明・中・暗の段階的な緑系3色を
使って草原のベースを描いて頂き
ました。
この章では、それぞれ3段階のベース
色より、少しだけ明るくした色を使い
草原らしさを表現していきます。
ちなみに、使う絵の具ですが、
メインの緑系色にはフタロシアニン
グリーン、明るい草原部分の混色には
イエローミディアムアゾ、暗い部分には
青系のコバルトブルーを混色しています。
使う筆は、これまでの章とは違い
柔らかいナイロンの細筆をご用意
ください。
参考までに、動画内で私が使っている
のはアルテージ社(ARTETJE)
2/0(サイズ)
620 キャムロン プロ
(CAMLON PRO)
という筆です。
0号サイズより更に2段階
細いサイズで、Amazonでも購入
が可能です。
この章は、動画でもご確認いただけ
ますが、ひたすら草原らしさ
である草のタッチを描いていきます。
草らしさが出ない・・・?
大丈夫です。
まだ次回に秘策があります。
単調な作業ですが上達への第一歩でも
あるので根気よく草を描いて見て
くださいね。
まとめ
今回の記事では、岩、雲、草原
のディテール部分を描くことで
岩らしさ、雲らしさ、草原らしさ
の表現を深めてきた段階です。
次回では、作品全体としての
調整段階に入りたいと思います。
更に手を加えることで、完成度が
一段と高まりますので一緒に進め
ていきましょう。
どうぞお楽しみに!
エピローグ
私は、定年退職したことを機に、
改めて大好きな絵画に時間を
かけられるようになりました。
そんな中で、近代絵の具である
アクリル絵の具を用いた素晴らしい
作品に出会うことができました。
美術大学出身の若いプロ画家の
作品に出会い、体の中にくすぶって
いた火種が再燃し始め、今は水彩画
からアクリル画に軸足を移してみました。
アクリル画と水彩画、どちらも魅力的な
表現方法があります。
その表現の豊かさを活かした制作活動に
今後も挑戦していきたいと思っています。
皆さんが、更に、または新たに絵画を
楽しんでいくうえで、この
「絵画工房 HIKOのスッケチブック」
を一助にしていただければ大変嬉しいです。
それでは、またの機会にお会いしましょう。
自作「等々力渓谷 ゴルフ橋」アクリル画
F4 シナベニヤキャンバス 2023年個人蔵