アクリル画、水彩画の基礎となる「色相」「明度・彩度」ほか「筆の種類」について初心者の方にも分かり易く解説します!

プロフィール

37年間勤めたホテル会社を2022年に定年

退職したことを機に、片手間であった絵画制作

を本格的に再開。

小学生の頃からメインで描いていた水彩画から

現在はアクリル絵の具を用いた作品に注力中。

ホテリエとしてして培った「癒し空間の提供」

を作品に盛り込んだ画風を目指して鋭意活動中。

絵画工房 HIKO  店長 吉田 明彦

CONTENTS 

第1章 アクリル画、水彩画を描くうえでの「色相」「色相環」について

第2章 描画に活かす「明度」「彩度」について

第3章 各筆のタッチが活きる「筆の種類」について

以上を意識しながら制作に取り組んでいただけると

更に素晴らしい作品につながると思います。

第1章 アクリル画、水彩画を描くうえでの「色相」「色相環」について

まず、「色相」についてです。

「色相」とは赤、青、緑といった色みの違い

を表すものです。

また「色相」を円上に配置したものを「色相環」

いいます。

20色の色相環と補色

同じ赤の中でも赤紫に近い赤や、橙に近い

赤など色々な赤がありますが、代表的な

赤、黄、緑、青、紫の5色に、その中間の色

を加えた赤、橙、黄、黄緑、緑、青緑、青

青紫、紫、赤紫の10色や、

その中間に、もう1色加えて

全部で20色相の「色相環」

などがあります。

この「色相環」の正反対に位置する

色のことを「補色」と呼びます。

(上記の色相環図を参照)

「補色」同士を並べて配置するとお互いに

引き立て合って鮮やかに見えます。

ほか、「暖色」と「寒色」という分類

あります。

「暖色」とは赤、橙、黄色などのように

暖かそうな色を指し、「寒色」とは青緑、

青、青紫などの冷たさを感じさせる色の

ことです。また、どちらにも属さない

黄緑、緑、赤紫、紫は「中性色」

して分類されます。

「暖色」、「寒色」の使い方によって、

作品全体の印象に様々な違いが出てきます。

第2章 描画に活かす「明度」と「彩度」について

まず「明度」とは、明るさの違いのこと

最も明るい色は白、最も暗い色は黒

なっています。

明るい色のことを「明度が高い」

というような表現をします。

「彩度」ですが、色の鮮やかさのことです。

「彩度」も「明度」と同じように

「高い」「低い」でその度合いを

表します。

彩度が最も高い色は鮮やかな原色で、

彩度が低くなるにつれてくすんだ

色みを感じない色に変化していきます。

色が派手であるか地味であるかを決めるのは

彩度ですので、彩度が高ければ派手な感じに

低ければ地味になります。

ファッションで想像していただくと

分かり易いですかね。

彩度が高い原色に近い色のセーター

を着ると派手な印象になり、彩度の低い色の

ものは当然に見ために地味な

イメージを与えます。

絵画において、まだ初心者の方の場合には

どうしても、作品中のあらゆる部分を

目立たせたくなり、彩度の高い色を

多用しがちです。

一番フォーカスしたい大事な部分が

埋もれてしまいますので、彩度を

低くするには白色を、明度には黒色

混色して「彩度」「明度」のメリハリ

が表現できれば、グッといい作品に

進化すると思います。

自作 等々力渓谷 日本庭園の紅葉

私の作品「等々力渓谷 日本庭園の紅葉」

を例に触れていきます。

日光が直接ふり注ぐ上部は明度を

高く、鮮やかな紅葉の葉にフォーカス

したいので彩度も高めています。

ほか、日本庭園の陽当りの良い部分は

暖色系、下部が日陰となることから

寒色系を意識して描いています。

参考にしてくださいね。

Let‘s have a break! 

私は、37年間ホテル会社に勤務して

いました。

皆さん、ホテルが提供するお料理で

得る「料理収入」における食材費

の割合、「料理原価率」とは

どれくらいかと思いますか?

おしなべて30%から35%なんです。

(ホテル会社によって多少違うかも

しれませんが)

したがって、5,000円の料理だと

昼食メニューか、ディナーかにも違いがありますが

概ね1,600円前後が「料理原価」

料理の材料費なんですね。

飲み物だと「飲料原価率」は概ね20%

くらいです。

皆さんもご想像つくかと思いますが、

ピラフやピザの各種、飲料だとカクテル

ウイスキーの水割りなどは原価率が

低いので、たくさん注文いただくと

ホテルにとっては収入アップに

つながるんですね!

◎◎フェアなどの肉料理には

シェフが食材原価率を度外視して、高級の

牛肉を使ったりしますので

ぜひお試しください!

第3章 各筆のタッチが活きる「筆の種類」について

筆の毛先には、概ね見た目が茶色の

人工毛のナイロン製や、動物の毛

ほか形状にも様々な種類があります。

毛質についてですが、下記の画像のように

白い筆先は、概ね豚毛で、毛の一本一本が

硬めで太く弾力性に優れています。

硬毛の筆は、コシが強く、主に塗り込みや

厚塗り、筆のタッチを残す描き方に適して

います。

ホルベイン社 豚毛の筆

https://holbein-shop.com/?pid=86286457

一方、軟毛の毛先が茶色の筆は

イタチ科の動物やリス、狸などの

毛があり、セーブル筆と呼ばれて

います。

ほか、ナイロン製に動物の毛を混合するなどして

動物の毛だけの筆に近い使用感を出した

リセーブル筆などもあります。

ホルベイン社 リセーブル筆

https://holbein-shop.com/?mode=grp&gid=1815806

軟毛の筆は、柔軟性と絵具の含みが良く

筆跡を目立たせず薄く塗る際や

細かな描き込みなどに適しています。

私の場合、細かな部分を描く際に

アルテージ社のキャムロンプロ

を使っています。

2/0号→5/0号というふうに

細い号数となる丸筆です。

アルテージ社
 キャムロンプロ 620 
0号より細い2/0号

https://webshop.sekaido.co.jp/product/A001847

続いて筆先の形状ですが、まず皆さんの

ご存じの丸筆と平筆があります。

丸筆は、「ラウンド型」とも呼ばれ

特徴は、絵具の含みがよく、筆運びが

しやすい形状のため、線を描くときに

適しています。

また、筆先が細いものは、繊細な線や

細密な描画に適しています。

平筆ですが、「フラット型」と呼ばれ

特徴は、比較的広い面を均一に塗る際や

タッチを活かした塗込みなど、利用範囲が

広いのが特徴です。

さらに、平筆にはフラット筆の角を取った

「フィルバート型」と呼ばれる筆があり、

私は特に広葉樹の葉を描く際に多用

しています。

フィルバード筆

https://webshop.sekaido.co.jp/product?tag=%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88

平筆の先を斜めに切り揃えた形状の

「アングル型」、ほか扇形の扇筆「ファン型」

と呼ばれるなどがあります。

軟毛の扇筆は、グラデーション

付けたい時など、例えば、空などを

描く際に、何色か段階的に塗った

青系絵の具の各境界線をぼかすのに

使用します。

ホルベイン社 軟毛のファン筆
(リセーブル)

豚毛の扇筆は硬質を活かし針葉樹の

葉を描く際のタッチに有効です。

各種の筆ごとに、硬毛、軟毛の筆が

揃えられています。

モチーフが空だったり、草木だったり

しますが、各筆の特徴を活かしなら

描いていきます。

自作「鮮やかな風景」における筆の使い分け

エピローグ

私は、定年退職したことを機に、改めて大好きな

絵画に時間をかけられるようになりました。

そんな中で、近代絵具であるアクリル絵具を用いた

素晴らしい作品に出会うことができました。

美術大学出身の若いプロ画家の方々の作品に

出会い、体の中にくすぶっていた火種が

再燃し始め、現在は水彩画からアクリル画に

軸足を移してみました。

水彩画とアクリル画、どちらも魅力的な表現方法が

あります。

その表現の豊かさを活かした制作活動に

今後も挑戦していきたいと思っています。

皆さんが、更に、または新たに絵画を楽しんで

いくうえで、この「絵画工房HIKOのスッケチブック」

を一助にしていただければ大変嬉しいです。

それでは、またの機会にお会いしましょう。

HELLO WORLD!

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1件のコメント

改めまして、こんばんは。
色相、色相環、補色、明度と彩度、興味深いです!ファッションに例えるとてもわかりやすいです♪

等々力渓谷の日本庭園、描き方を知ると、
より見甲斐がありますね!
鮮やかな風景画、とっても素敵ですね!

色々な筆の使い方が知れて面白いです。
特に昔どこかで見た扇筆の使い方がわかって
スッキリしました!
ありがとうございました。

Let‘s have a break!のホテルの色々なお話、
またぜひ読みたいです!

次回の記事も楽しみにしています♪